幽霊画は浮世絵や日本画の様式の一つ。江戸時代から明治時代にかけて多く描かれました。
怪談を得意とした明治の噺家三遊亭圓朝(天保10<1839>-明治33<1900>年)は幽霊画のコレクターでもありました。東京・谷中の全生庵には彼にゆかりの幽霊画50幅が所蔵されています。本展は、この圓朝コレクションを中心として、日本美術史における「うらみ」の表現をたどります。日本の怪談や幽霊ってじわりと怖いですね。
本展では幽霊画に見られる「怨念」や「心残り」といった、成仏できなかった人間の底知れぬ感情に注目し、さらに錦絵や近代日本画、能面などに「うらみ」の表現を探っていきます。近代になると怖さが美しさに昇華し、幽霊画なのにまるで美人画。日本人が負の感情に見出した美意識をご堪能ください。
円山応挙、長沢蘆雪、曾我蕭白、浮世絵の歌川国芳、葛飾北斎、近代の河鍋暁斎、月岡芳年、上村松園など、美術史に名をはせた画家たちによる「うらみ」の競演、まさにそれは「冥途の土産」となるでしょう。
なお、本展は、当初平成23(2011)年夏に開催を予定しておりましたが、同年3月に発生した東日本大震災の諸影響を鑑み、開催直前にして延期を決定したものです。今回、4年の歳月を経ての開催となります。感慨ひとしお。
「うらめしや~、冥途のみやげ」展
会期:2015年7月22日(水)-9月13日(日)
開催会場:東京藝術大学大学美術館 地下2階展示室
開館時間:10:00~17:00 入館は閉館の30分前まで(ただし、8月11日(火)、21日(金)は19:00まで開館)
休館日:月曜日
※駐車場はございませんので、車でのご来館はご遠慮ください。
お問い合わせ ハローダイヤル 03-5777-8600
「うらめしや~、冥途のみやげ」展 ―全生庵・三遊亭圓朝 幽霊画コレクションを中心に―