不安定な天候が続きますが、梅雨が明ければ夏本番。暑い日々が続きます。暑いとついつい冷房に頼ってしまいがちですが、今年の夏はいつもとひと味違う涼み方、滝浴みを楽しんでみてはいかがでしょうか。
滝浴み(たきあみ)とは夏の日に滝を浴びることや眺めること。
近頃はあまりなじみのない言葉です。水遊びといってしまえばそれまでですが「滝浴み」という言葉に置き換えると涼やかさが少し違ってきませんか?今回は、現在も都内で滝浴みが楽しめる、天然の涼味スポットをご紹介します。
小石川後楽園
寛永6年(1629)水戸徳川家の祖である頼房が中屋敷としてつくり、二代藩主光圀(黄門様)の代に完成した庭園。大泉水に北側から注ぐ流れに「白糸の滝」がかかり、大泉水の南側、緑陰の延段をたどると木曽川に「寝覚の滝」が落ち込んでいる。ほかに通天橋の手前に「音羽滝」の見事な石組があるが、今は水はありません。入園口を入って右手に「枯滝」も見ることができます。
所在地;東京都文京区後楽1-6-6
問合せ:TEL 03-3811-3015 小石川後楽園サービスセンター
六義園
五代将軍徳川綱吉に信の厚かった柳沢吉保により元禄15年(1702)に築庭されたこの庭園は、吉保の和歌趣味を反映して優美な雰囲気を醸し出しています。「滝」も断崖を落下するのではなく、岩場を駆け下ります。その滝は滝見茶屋の傍らにあり、庭内十二境の一つ、紀川上の景色の中に枕流洞(まくらのほら)からほとばしっています。
所在地:東京都文京区本駒込六丁目16-3
問合せ:TEL 03-3941-2222 六義園サービスセンター
旧古河庭園
大正初期につくられたこの庭園は、台地の斜面にジョサイア・コンドル設計の洋館と洋風庭園、低地に小川治兵衛作庭の日本庭園が広がります。滝は日本庭園にあり、十数メートルの高所から流れ落ちる「大滝」は、深山幽谷の趣をかもし、数段の小滝から最後は深い淵に落ちるという凝ったつくり。心字池にのぞむ大きな雪見灯籠のそばには「枯滝」もあります。
所在地:東京都北区西ヶ原一丁目27-39
問合せ:TEL 03-3910-0394 旧古河庭園サービスセンター
殿ヶ谷戸庭園
大正4年(1915)に後の満鉄副総裁、江口定條の別荘として整備され、その後、三菱財閥岩崎家の別邸だった庭園。国分寺崖線(ハケ)の植生と地形を巧みに生かし、崖の上下で雰囲気が一変する構成が見どころの一つ。崖下に次郎弁天の池があり、「滝」はそれを見下ろす紅葉亭の直下を駆け下って池に落下します。
所在地:東京都国分寺市南町二丁目2-16
問合せ:TEL 042-324-7991 殿ヶ谷戸庭園サービスセンター
等々力渓谷 不動の滝
大井町線等々力駅近く、ゴルフ橋のたもとから階段を降りると、そこはまるで別天地の渓谷。多摩川に向かう谷沢川の流れに沿って散策路を歩むと、ついさっきまで街中にいたことがうそのような気分になってきます。
「不動の滝」。雄滝と雌滝という名の二条がそれぞれ流れ落ちている。龍頭が岩間から突き出ている格好で、龍の口から湧き水が出ています。かつては滝の水音が警告に轟いたところから地名になったそうです。
所在地:東京都世田谷区等々力1丁目22番、2丁目37~38番
問合せ:TEL 03-3704-4972 玉川公園管理事務所
江戸時代には王子界隈の不動の滝が人気だったようで浮世絵にも描かれています。
冷房器具で直接的に温度や湿度を下げることがなかった時代、人々は見た目の涼しさや気分的に涼しさをつくり出し、いろいろな工夫を凝らして暑さを凌いでいました。涼しげな浴衣を着て、お気に入りのうちわや扇子を用意したら、滝浴みで納涼を楽しんでみては?