サントリー美術館が六本木に開館して10周年を記念する特別展「天下を治めた絵師　狩野元信」が開催されており、まもなく最終日を迎えます。

歴史の教科書にも登場する絵師集団「狩野派」。同展は、狩野派の始祖・狩野正信の息子である狩野元信にフォーカスした展覧会です。

歴代の狩野派絵師の中でも高く評価される卓越した技能を持つ元信は、狩野永徳、狩野探幽らへつながる、狩野派の礎を築いた人物。狩野派は幕府の御用絵師となり、日本絵画史上最大の画派へと成長していきますが、その繁栄は元信の活躍があったからこそのものでした。また、元信は中国絵画のテクニックを元信様式としてマニュアル化することで、弟子たちが質を保った作品制作を可能とした土壌を作り上げました。

同展では、狩野元信が弟子とともに作り上げた建築の一部に描かれる「障壁画」の世界をはじめ、元信らも手本とした中国絵画の名作が展示されています。元々は中国絵画を元とする漢画の絵師であった狩野派は、元信による真・行・草の「画体」の確立に加え、漢画だけでなくやまと絵や仏画の領域にも進出し、活躍の場を広げます。

これまで一人ひとりの絵師が活躍していた絵の世界で、狩野元信率いる元信工房としてさまざまな傑作を生み出し、組織として大躍進を遂げた狩野派。狩野元信の幅広い画業が紹介される展覧会の会期も残すところわずかとなってきました。多くの人々を魅了した豊かな伝統の世界を浮き彫りにする展示をどうぞお見逃しなく。

六本木開館10周年記念展「天下を治めた絵師　狩野元信」

会期：2017年9月16日（土）～11月5日（日）
開館時間：10:00～18:00（金・土は10:00～20:00）
休館日：火曜日
入館料：一般当日 ¥1,300、大学・高校生当日 ¥1,000、中学生以下無料